実例(3)養子の子の運命

養子

司法書士は、遺言に関して様々な経験をしています。その経験談をご紹介します。

Aさんから、92歳で亡くなった女性の相続登記の相談がありました。
その女性は、生涯独身で子供がいなかったので、30数年前に親戚の男子を養子に迎えました。しかし、その養子は養親であるその女性よりも先に亡くなってしまいました。A さんは、その亡くなった養子の長男として、相続手続の相談に見えたのでした。
養子には実子と同じ相続権があります。養子が先に死亡したこの相続では、養子の子であるAさんが代襲相続人となるだろう、そう考えながら、戸籍を取り寄せて相続関係を確認したところ、何とAさんは、女性と父親が養子縁組する3か月前に生まれた子でした。養子は実子と同じ相続権があるといっても、養子の子が代襲相続できるのは養子縁組の後に生まれた子だけです。
Aさんには兄弟が4人いますが、それほど仲が良いわけではありません。
Aさんの今住んでいる家は、亡くなった女性の名義で、これをAさんの名義に変更したいという相談でした。Aさんは、その女性から実の孫のようにかわいがられ、Aさんもその女性の面倒を亡くなるまで看ていたとのことです。しかし、残念ながらAさんには相続権がありません。このことをAさんに伝えるのは、本当に辛いことでした。
この女性が生前にAさんと養子縁組していれば、又は女性がAさんに自宅を遺贈するという遺言を残してくれていたら、このような不幸はなかったでしょう。

参考:【令和新版】誰でも作れる遺言書「レッツ遺言セット」
   神奈川県司法書士協同組合

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