遺言書を書く時の注意点【何通も書いた遺言書の効力】

遺言書

遺言書は、いつでも破棄し、またいつでも書き直せます。そのために注意していただきたいことがあります。

前に書いた遺言書と後に書いた遺言書で、内容が矛盾するときは、前に書いた遺言は無効となる

「自宅を長男に相続させる」と書いてある古い遺言書と、「自宅を二男に相続させる」と書いてある新しい遺言書があったとします。
このように、内容に矛盾がある遺言書が複数あるときは、その矛盾する部分については、後の遺言により前の遺言を撤回したものとみなされます。従って「自宅を二男に相続させる」と書いた後の遺言により、「自宅を長男に相続させる」と書いた前の遺言は撤回されたとみなされます。「三男に相続させる」というさらに新しい遺言書があると、「二男に相続させる」という遺言内容も撤回されたとみなされます。

遺 者 遺 内容 反する行為をしたときは、遺言を撤回しこものとみなされます

遺言書を書いた後に遺言者が遺言内容に相反するような行為をしたときも、その部分については遺言を撤回したものとみなされます。例えば遺言者が「〇〇〇の別荘は長男に相続させる」という内容を含む遺言書を書いたのち、遺言者が生前にその別荘を他人に売ってしまったときは、別荘を長男に相続させるとした遺言部分は遺言者により撤回されたものとみなされます。

遺言書を新たに書き直すときは、前の遺言書を破棄しましょう

新しく遺言書を書き直すときは、前に書いた遺言書は封筒ごと破棄しましょう。遺言書が何通もあると、相続人が混乱するからです。もしも前に書いた遺言書が見つからないときは、後から書く遺言書に、「以前書いた遺言は全て撤回する」と書いて、全部書き直すことをお勧めします。

前に書いた遺言書と後に書いた遺言書内容が矛盾しなければ、どちらの遺言も有効

例えば前の遺言書に 「A銀行の預金は長男に相続させる」と書いて、後の遺言書は「B銀行の預金は長女に相続させる」と書いたとしましょう。
どちらも預金を相続させる内容の遺言ですが、その内容に矛盾するところはありません。このような場合は、前の遺言書も後の遺言書も作成の前後は関係なく、どちらも有効です。

遺言書は複数に分けて作成するよりも、1通の遺言書にまとめて書きましょう

遺言書が何通もあると混乱が生じやすくなります。紛争予防の観点からは、遺言書を複数に分けて作成するよりも、1通の遺言書にまとめて書くことが好ましいといえます。「A銀行の預金は長男に相続させる」と書いた前の遺言書は破棄して、「A銀行の預金は長男に相続させ、B銀行の預金は長女に相続させる」という内容の遺言書に書き直しましょう。

参考:【令和新版】誰でも作れる遺言書「レッツ遺言セット」
   神奈川県司法書士協同組合

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