遺言の法律豆知識①

遺言書

自分が死亡すると、相続人はだれになるのか、遺言書がある場合に必要な手続は何か、税金はいくら払う必要があるのかなど、遺言に関する豆知識のコーナーです。
間違いのない遺言を書くうえで、是非参考にして下さい。

●相続関係に使われる用語

相続関係や親族関係をあらわす言葉には、聞き慣れない用語や普段使っていても曖味に覚えている用語があります。

  • 遺贈(いぞう)
    遺言で、財産を譲ることを「遺贈」といいます。
    遺産を全部とか何分の1とか割合を指定してする遺贈を「包括遺贈」といいます。この場合、受遺者は相続人と同じ立場になります。特定の遺産を遺贈するのを「特定遺贈」といいます。この場合、遺贈を実現するには、相続人全員の協力、あるいは遺言執行者が必要です。
  • 遺留分(いりゆうぶん)
    相続人のために留保されなければならない遺産の一定割合を「遺留分」と
    いいます。
  • 遺留分侵害額請求権(いりゆうぶんしんがいがくせいきゅうけん)
    本来、誰でも自分の財産を自由に処分できますが、本人が生前にした贈与等の処分や遺言の内容が、特定の相続人の遺留分を侵害している場合には、その相続人は、遺留分を侵害している相手に対して侵害額を金銭で請求することができます。この請求権のことを「遺留分侵害額請求権」といいます。
    遺留分侵害額請求権は、相続の開始及び遺留分が侵害されたことを知ったときから1年以内に行使しなければ、時効で消滅します。また、遺留分が侵害されていることを知らなくても、相続の開始時から10年を経過すると消滅します。
  • 寄与分(きよぶん)
    被相続人の相続財産の維持又は増加に寄与した相続人がある場合、相続人の協議で、その相続人の寄与した額あるいはその割合を定めることができます。この寄与の額あるいはその割合を「寄与分」と言います。
    寄与した相続人の相続分は、法定の相続分に、寄与分を付加した額が、その相続人の相続分となりますから、他の相続人の相続分は、寄与分を認めた分だけ減ることになります。
  • 欠格事由(けっかくじゆう)
    民法は、ある不正をした者は相続人となることができないと定めています。その不正な行為を「欠格事由」といい、欠格事由に該当することをした者を「相続欠格者」といいます。例えば、被相続人の遺言書を偽造・変造 ・破棄 ・隠匿(隠すこと)したり、詐欺や強迫によって遺言をすることを妨げたり、逆に詐欺や強迫によって遺言を書かせたりすることなどが欠格事由に該当します。
  • 受遺者(じゅいしゃ)
    遺言で遺贈(いぞう)を受ける人を「受遺者」といいます。
    受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも遺贈を放棄することができます。遺贈を承認又は放棄した場合は、撤回することができません。包括遺贈を受ける人を包括受遺者と言います。包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有するとされ、包括遺贈を放棄する場合は、相続放棄の手続によります。
  • 親族(しんぞく)
    親族は、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族を指します。ひ孫や曽祖父母、おじおば、甥姪(おいめい)までが3親等ですから、6親等というと相当遠い血縁までも含まれます。姻族とは、配偶者の血族のことです。姻族では親族の範囲は3親等までですから血族よりも分かり易いですね。
  • 親等(しんとう)
    本人と親族との関係の距離を数値で表わした単位です。本人とその配偶者には親等を付けません。本人や配偶者の親や子は1 親等。孫、祖父母と兄弟姉妹は2 親等。曽祖父母、おじおば、甥姪は3 親等です。直系尊属の相続権については 「親等の異なる者の間では、近い者を先にする。」とされ、親と祖父母の両方が健在の場合、1親等である親に相続権があり、2親等の祖父母には相続権はありません。
  • 相続(そうぞく)
    広い意味では、承継することを相続するということもありますが、法律的には、ある人の死によって残されたその人の財産や権利義務を、法律に定める一定の親族関係にある人が包括的に承継することを「相続」と言います。
  • 相続財産(そうそくざいさん)
    相続財産は遺産とも言われます。被相続人が死亡時に残した被相続人の財産の全てを指します。現金・預貯金、不動産などの積極財産といわれるプラスの財産だけでなく、負債、保証債務などのマイナスの財産、いわゆる消極財産も相続財産に含まれます。
    具体的相続分や遺留分の算定、相続税の計算などでは、生前に贈与された一定の財産を相続財産に含める場合があります。
  • 相続人(そうぞくにん)
    ある人の死によって、その人が残した一切の財産や権利義務を包括的に承継する地位にある人を法定相続人あるいは単に相続人と言います。すでに具体的に相続した人も相続人と言います。
    将来相続人になる地位にある人ということに力点を置いて、推定相続人と言うこともあります。死亡したその人は、相続される人と言う意味で「被相続人」と言います。
  • 相続人の廃除(そうぞくにんのはいじょ)
    相続人の廃除は、遺留分を持つ推定相続人が被相続人に対して虐待や重大な侮辱をし、あるいは著しい非行があった場合に、被相続人がその推定相続人の相続権の喪失を家庭裁判所に請求ができる制度です。被相続人の生前にも、遺言によってもできます。

参考:【令和新版】誰でも作れる遺言書「レッツ遺言セット」
   神奈川県司法書士協同組合

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