遺言の法律豆知識②
2024年1月25日
最終更新日時 :
2024年1月26日
suzuran-legal
自分が死亡すると、相続人はだれになるのか、遺言書がある場合に必要な手続は何か、税金はいくら払う必要があるのかなど、遺言に関する豆知識のコーナーです。
間違いのない遺言を書くうえで、是非参考にして下さい。
●相続関係に使われる用語
相続関係や親族関係をあらわす言葉には、聞き慣れない用語や普段使っていても曖味に覚えている用語があります。
- 代襲相続(だいしゅうそうぞくいぞう) 被相続人の子(実子、養子)が、被相続人の死亡以前に死亡し、又は欠格事由に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子が代わって相続人になります。これを代襲相続といい、代襲相続する者を代襲相続人といいます。なお縁組前に生まれた養子の子のように、被相続人の直系卑属でない者は、代襲相続人にはなれません。 代襲相続人について死亡、欠格事由、廃除といった代襲事由が生じたときは、さらに代襲相続人の子が代わって相続人になります。これを再代襲と呼びますが、被相続人の直系卑属である限り何代でも再代襲します。 これに対し、兄弟姉妹が相続する場合の代襲は1回だけに限られ、再代襲はできません。兄弟姉妹の子(被相続人の甥《おい》や姪《めい》)は代襲相続人になりますが、甥や姪の子は代襲相続人になれません。
- 直径卑属(ちょっけいひぞく)
自分から見て下の世代の血族を卑属といいます。卑属のうち、血のつながりが下に直線的な関係にある者、例えば子(実子、養子)や孫、ひ孫、玄孫(やしゃご)などを「直系卑属」といいます。なお甥や姪のように血のつながりが直線的ではない卑属を傍系卑属(ぼうけいひぞく)といいます。
直系卑属のうち、子(実子、養子)は通常相続人になりますが、その子が死亡していた場合など、子以下の直系卑属が代襲して相続人になることがあります。(上記の「代襲相続」を参照してください。) - 直系尊属(ちょっけいそんぞく)
自分から見て目上の世代の血族を尊属といいます。尊属のうち、血のつながりが上に直線的な関係にある者、例えば親(実親・養親)、祖父母、曽祖父母などを「直系尊属」といいます。なお叔父、伯母のように血のつながりが直線的ではない尊属を傍系尊属といいます。
直系尊属は、被相続人に子や代襲者がいない場合に、相続人になります。ただし直系尊属の間では、親等の近い者が優先的に相続人になります。例えば、被相続人に父母と祖父母がいれば、父母だけが相続人となり、祖父母は相続人になりません。
- 特別寄与者(とくべつきよしや)・特別寄与料(とくべっきよりよう)
相続人でない親族が被相続人の介護や看病に寄与した場合、その親族は「特別寄与者」として、遺産相続時に各相続人に対して寄与に応じて「特別寄与料」という金銭を請求することができます。 - 特別受益(とくべつじゅえき)
相続人が、被相続人から婚姻、養子縁組、生計の資本として贈与を受けていた場合、その贈与により相続人が受けた利益を 「特別受益」といいます。相続人に対する遺贈も特別受益となります。
特別受益は、被相続人の死亡時の時価に換算して死亡時の遺産に加え、これを相続財産とみなして、各相続人の具体的な相続分を算出することになります。
ただし遺留分額を計算する場合、特別受益として遺産に加えるのは、相続開始前10年間になされた贈与に限定されます。 - 配偶者居住権(はいぐうしやきよじゅうけん)
被相続人の配偶者が相続開始時に居住していた建物を配偶者自身が死亡するまで無償で使用収益できる権利を「配偶者居住権」といいます。残された配偶者の住まいを保護するために「所有権」と切り離して創設された自宅不動産に関する権利です。 - 被相続人(ひそうぞくにん)
ある人の死によって、その人が残した一切の財産や権利義務を包括的に承継する地位にある人を法定相続人、あるいは単に相続人と言います。
死亡したその人は、相続される人と言 う意味で 「被相続人」といいます。 - 親等図(しんとうず)
血族の6親等全ては書ききれません。ご自分の子以外の親等を数えるときは、下記の図の矢印のように上に行って横に行って下に行くようにして親等を数えます。