成年後見制度を利用するためには

家庭裁判所

実際に成年後見制度のうち法定後見制度を利用するためには、家庭裁判所に申立をする必要があり、『後見開始の申立』『保佐開始の申立『補 助開始の申立』を行います。

申立ができる人

この申立ができる人は、本人か夫や妻、子ども、父や母、兄弟姉妹などの4親等内の親族に限定されています。友人や知人では申立をすることはできません。
身寄りのない人や親族が申立をしてくれない場合には、市町村長が申立をすることができることになっています。

申立に必要な書類

申立は、本人が住んでいる場所の家庭裁判所に書類を提出します。
必要な書類は、家庭裁判所によって違いがある場合もありますが、次のようなものとなります。

  1. 申立書
  2. 医師の診断書(申立専用の様式有。かかりつけの医師の診断書で構いません)
  3. まだ後見人が登記されていないことの証明書(法務局で証明書を出してもらいます)
  4. 本人・申立人・候補者の戸籍、住民票の写し、本人の状況や後見人の候補者の事情を説明した書類など
  5. 本人の財産の明細を書いた書類(「財産目録」といいます)と収支一覧表
  6. 財産や収入、支出がわかる書類(通帳のコピー、不動産の登記事項証明書及び評価証明書、生命保険証、年金通知書、施設等の領収書など)

かなり多くの書類を作ったり、揃えたりする必要があります。自分だけでは難しいというときは、申立書の作成を司法書士に依頼することもできます。

後見がスタートするまでの流れ

申立がされると家庭裁判所は、後見を開始するかとうか、誰を後見人に選ぶかを判断するために次のようなことを行います。

  1. 調査
    家庭裁判所の「調査官」が申立人や本人に事情を尋ねたり、関係者に問合せをしたりします。
  2. 審問
    必要かある場合は、裁判官が事情を尋ねます。
  3. 鑑定
    本人の判断能力をより正確に把握する必要かあるときは、精神鑑定を医師に依頼します。

この結果、家庭裁判所が後見を始めるべきと判断したときは、「後見開始の審判」がされ、同時に成年後見人が選ばれます。この審判の内容は、申立人や成年後見人などに通知されるほか、法務局で登記されます。登記されることで、成年後見人など必要がある人は、近くの法務局(支局・出張所は除く) で後見の内容を証明する書類(「登記事項証明書」といいます)を発行してもらい、この証明書を金融機関などに提示して、自分が成年後見人であることを証明して、必要な仕事を行います。

コラム
家庭裁判所

日本の裁判所には、最高裁判所、高等載判所、地方載判所、家庭裁判所、簡易裁判所があります。このうち家庭我判所は全国に50か所の本庁が設けられており、管轄区域は各都府県と同じ(北海道は4か所)です。各地に支部が203か所、出張所が77か所設けられています(平成25年7月1日現在)。家庭載利所は主に家事事件と少年事件を扱っています。
家事事件というのは、後見人の選任、離婚や遺産分割などについての審判事件や調停事件の総称です。事件の内容が親族間の紛争であることから、家庭裁判所の司法判断である「審判」と家庭裁判所が仲立ちをして当事者がお互いに合意する「調停」のニつの解決方法か用意されています。

コラム
費用

成年後見制度を利用するためには、どれくらいの費用がかかるのか気になるところです。
『法定後見制度』の場合、申立段階で必要となるのは、申立書や登記のための印紙代、各種郵送のための切手代、提出する戸籍や住民票などの証明代、医師の診断書作成などの費用で、およそ15,000円~20,000円ほどです。申立書の作成を司法書士に依頼した場合には、さらに司法書士への報酬が必要です。家庭裁判所が鑑定を実施することを決定したときには、鑑定費用としておよそ50,000円~100,000円ほどが必要となります。
『任意後見制度』の場合は、契約時に公正証書作成費用などでおよそ25,000円~30,000円ほど(1契約につき11,000円、その他費用は公証役場にご確認ください)、後見契約のスタート時に任意後見監督人選任申立費用として、印紙代切手代が10,000円ほどとなります。
成年後見制度の利用が始まってからは、後見人の報酬が必要となります。
『法定後見制度』の場合には、家庭裁判所が報酬付与の審判で報酬金額を定めます。
『任意後見制度』の場合には、任意後見人の報酬は契約で定め、任意後見監督人は法定後見制度と同様に家庭裁判所が定めます。
費用については、各家庭裁判所へご確認ください。

参考:司法書士アクセスブック「よくわかる成年後見」
   日本司法書士連合会

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