司法書士と成年後見

司法書士すずらんリーガルオフィス

専門家としての成年後見制度へのかかわり

司法書士の歴史は明治5年に始まりますが、以来140年以上にわたり、裁判所に提出する書類の作成や登記手続の専門家として活動してきました。
平成15年には、法務大臣の認定を受けた司法書士に簡易裁判所での訴訟の代理権が付与され、身近なくらしの中の法律家として活動しています。
そして、平成12年4月1日にスタートした新しい成年後見制度に合わせて、「社団法人成年後見センター・リーガルサポート」(現在は、「公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート」)を創設し、高齢者や障害者の権利擁護と支援に積極的に取り組んできました。

司法書士の具体的なかかわり

司法書士が成年後見制度にどのようにかかわっているのか、具体的に説明しましょう。

  1. 後見人への就任
    成年後見人、保佐人、補助人は家庭裁判所より選任され、多くの場合本人の親族が選任されますが、本人に家族がいない場合や、本人の財産管理に困難を伴ったり、親族間に紛争があるなどの事情があるときは、成年後見事務に精通している専門職後見人として司法書士が選任される場合があります。また、必要な場合は司法書士が後見監督人に選任される場合もあります。
  2. 申立手続書類の作成
    家庭裁判所に申立する書類を自分で作成するのが大変なときは、司法書士に依頼すれば、申立書等を作成します。
  3. 申立人、親族後見人への助言と支援
    司法書士は、申立人、親族後見人からの疑問点や不安な点の相談に応じ、最善の方法を一緒に考えるなと、本人のみでなく親族で後見人になる方の支援も行います。

司法書士会の具体的なかかわり

全ての司法書士は、全国の50の司法書士会のいずれかに所属し、全ての司法書士会を会員とする日本司法書士会連合会が組織されています。全国の司法書士会と日本司法書士会連合会は、その社会的責任を果たすため、制度の啓発、会員への研修、市民への広報等の活動を行っています。

公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポートの沿革と役割

リーガルサポートは、ノー ライゼーシ ン(高齢者や障害者も家庭や地域で通常の生活ができるような社会を創るという考え方)の理念を基本とする新しい成年後見制度が平成12年4月1日から施行されるのに先駆け、成年後見制度の担い手となる団体として、平成11年12月に日本司法書士会連合会が中心となり設立された法人です。リーガルサポートの正会員はすべて司法書士ですが、社会との一体性・透明性を確保するため、法人の理事の中には、司法書士以外の有識者も含まれています。

リーガルサポートの研修、名簿提出、監督について

リーガルサポートの会員は、成年後見制度に関する研修(法律関係の研修だけでなく、福祉、医療、倫理等、後見人として必要とされる研修)を履修し一定の履修単位を得た会員だけが「後見人等候補者名簿」に登載されます。2年毎に新しい研修単位を取得できなければ、この名簿から削除されることになっています。
この名簿は、家庭裁判所に提出され、家庭裁判所が後見人等を選任するときの判断材料となります。
また会員は、リーガルサポートに対して後見人としての業務についての定期的な報告義務を負い、リーガルサポートはその報告内容を精査します。

会員数、後見人の実績等

リーガルサポートの会員数は、現在7,500名(平成28 年6月19 日現
在)を超えておりますが、最高裁判所が公表している平成27年の統計では、親族を除く第三者の成年後見人等への選任件数は全体の70.1%あり、その内訳は司法書士が9, 442件、弁護士が8,000件、社会福祉士が3,725件と、司法書士を後見人に選任するケースが最も多くなっています。

本部・支部

リーガルサポートの本部は東京にあり、全国の各都道府県に支部をおき(北海道は4カ所)それぞれの地域の関係機関と連携した活動を行っています。

参考:司法書士アクセスブック「よくわかる成年後見」
   日本司法書士連合会

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