不動産を相続したらまず登記
相続によって不動産を取得した場合、それが自分のものであることを他人に主張するために登記をするのであり、登記しなければ罰せられるというわけではありません。「相続権のある私たち以外に遺産が行くわけがない」と考える人もいるようです。しかし、これで本当に大丈夫でしょうか。不動産をめぐる相続問題は、とかくスムーズにいかないことも多くあります。つまり登記をしておかないと、後々、困ることが起きるのが不動産相続の常識と考えておいたほうがよいでしょう。
登記をせずに放っておくと、権利関係が複雑になる
たとえば、被相続人の残した不動産について、相続人A、B、C の間でAが相続するということで話し合いがうまくまとまったので、安心して放置しておいたら、相続人の一人であるCが亡くなってしまったというケースは意外と多くあります。この場合、ただ話し合っただけだったとしたら、Aの名義に登記をするためには、亡くなったCの相続人D、E、Fを加えてもう一度協議をしなければなりません。この協議がまとまらないうちにBが亡くなってしまったら、Bの相続人G、H、Jも協議に加えなくてはなりません。そうこうしているうちにAが亡くなってしまったら…。
長い間登記を放置しておくと、相続権のある人が次第に増えて、遺産分割協議が整うことが難しくなります。登記手続に必要な書類も多くなり、不動産をめぐる法律問題をさらに複雑にさせます。
森林の荒廃が、環境を壊すことになる
山林の所有者が亡くなった場合に、相続登記をして所有者を明確にすることは、近年叫ばれる環境問題にも大きく関わりがあります。全国には森林所有者が加入する森林組合があり、森林の手入れなどをお手伝いしてくれますが、所有者がわからないと手入れが行われなくなり、荒廃が進んでしまいます。
間伐などで森林を健全な状態に保つことにより、水害や土砂崩れなどの災害が起きにくくなり、野生動物の住みやすい環境をつくるのです。