自分で後見人を選ぶ
2023年4月10日
最終更新日時 :
2023年4月10日
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「任意後見制度」を利用することにより、本人自身があらかじめ任意後見人になる人を決めておくことができます。
任意後見制度
『今は元気。でも、将来が心配。もしも判断能力が不十分になったら、信頼できる特定の人に支援してほしい。』
そんなときに利用できる制度が任意後見制度です。
任意後見制度を利用するためには、任意後見人との間で『任意後見契約』を結びます。そのためには、まず任意後見人になってもらう人との間で、生活面や病院・施設の利用や財産の管理の面でどんな支援をしてもらうか、その報酬をいくら支払うかなどを決め、公証人役場で公証人に『公正証書』という契約書を作ってもらいます。
ただし、これだけでは任意後見制度は始まりません。実際に判断能力に衰えが出て、任意後見人の事務を監督する『任意後見監督人』が家庭裁判所で選ばれたところから、任意後見契約の内容に従った支援が始まります。
任意後見制度の特徴
任意後見制度の特徴は、
- 自分が選んだ人に支援してもらえる。
- 自分の希望どおりの支援が受けられ、自分の意思をきめ細かく反映できる。
- 元気なうちに契約できるので、将来の不安が軽くなり安心できる。
という点でしょう。
一方、
- 契約内容が難しく、契約締結までの信頼関係を築くのに時間がかかる。
- 家庭裁判所で選ばれる後見人の場合とは違い、任意後見人の権限は契約時に定めた代理権のみであり、同意権・取消権がないため、本人が不利益な契約(悪徳商法等)をしてしまった場合でも任意後見人は取り消しをすることができない。
などの問題点もあります。
コラム
任意後見監督人
任意後見制度では、必ず家庭裁判所により『任意後見監督人』が選任され、後見人がしつかり仕事をしているのかを把握し、監督を行います。
それに対して、法定後見制度では、家庭裁判所が後見人の仕事を把握し、監督を行います。しかし、家庭裁判所が申立に基づいて、または職権で後見監督人を選任し、家庭裁判所とともに後見人の仕事を監督させることもあります。管理する財産が多額であったり内容が複雑である場合に後見監督人が選任されているようです。
どちらの場合も、後見人は、後見監督人に相談しながら本人のために後見人としての仕事を行っていきます。